着心地のいい洋服のラベルに、「指定外繊維(テンセル)」という表示を見たことはありませんか?
このテンセルとはいったい何でできているのでしょう?
そしてなぜ指定外繊維なんでしょう?
【テンセルとは?】
テンセルは、イギリスのメーカーであるコートルズ社が開発した繊維です。
現在製造はオーストリアのレンチング社は行っています。
原料は木材パルプです。
木材パルプのほとんどはご存知のとおり製紙用パルプになりますが、特に精製したものは溶解用パルプとなります。
この溶解用パルプがフィルターでろ過され、不純物を取り除いて作られたのがテンセルです。
同じように溶解用パルプから作られる有名な繊維にレーヨンがあります。
実は20世紀前半には「レーヨンの時代」といわれるほどレーヨンが流行っていました。
最近はアパレルの素材としてその頃ほどは使われていないようです。
このレーヨンとテンセルの違いは、その製造工程です。
その違いによってテンセルは、レーヨンよりも強度の高い素材になりました。
ちなみに「リヨセル」はテンセルと全く同じもので、会社による商標の違いによるものです。
【なぜ指定外繊維?】
衣類の内側に縫い付けられた繊維の名前や洗濯表示の書かれたラベル(ケアラベル)は、家庭用品品質表示法に基づいています。
テンセルはその家庭用品品質表示法で定められていない繊維なので、「指定外繊維」となっているわけです。
これはテンセルがまだ比較的新しい繊維で、この表示法による定義がなく対象外となっているためです。
【テンセルのメリット・デメリット】
○メリット
・生地がやわらかい
・シルクのような光沢がある
・保湿性や吸湿性がある
・速乾性がある
・弾力性がある
▼デメリット
・摩擦に弱い
・シワになりやすい
・濡れると硬くなることがある
・虫食い、カビに注意が必要
洗う際は洗濯時間は短く、乾燥機は避けた方がいいそうです。
テンセルは土に埋めれば土に還るほどの繊維で、「世界で最も環境にやさしい製法で作られた繊維」とも呼ばれています。
それだけでなく高性能な性質を持った繊維なんですね。